「濡れた髪は痛みやすい」ということはご存知かと思います。今回は濡れた髪をダメージレスに取り扱うコツをQ&A形式でお伝えしていきます。
もくじから見たい項目を選べます。
もくじ
- 濡れた髪は乾いた髪より痛みやすい|11のQ&A
- Q1.濡れた髪にヘアアイロンはどうしてNGなのか?
- A1.濡れた髪は乾いた髪より、熱によるタンパク変性を起こしやすいためです。
- Q2.濡れた髪はすぐ乾かしたほうがいいのはなぜ?
- A2.濡れた髪のキューティクルは柔らかくなり開いているので摩擦に弱く髪の中の物質が出ていきやすいためです。
- Q.3 濡れた髪をブラッシングするのはどうしてだめなの?
- A3.濡れた髪のキューティクルは開いていてもろく、ブラッシングの摩擦で剥がれやすいためです。
- Q4.ロングヘアが乾きにくいので濡れた髪をタオルターバンして放置するのはOK?
- A4.長くても10~20分程度でタオルをはずしてドライヤーで頭皮と髪を手早く乾かすのがおすすめです。
- Q5.濡れた髪にアウトバストリートメントやオイルをつけてヘアアイロンしても良いですか?
- A5.濡れた髪にアウトバストリートメントをつけたら、完全に乾かしてからヘアアイロンを使うのが正解です。
- ヘアアイロン向きのアウトバストリートメントがベスト
- Q6.髪はドライヤーを使わず自然乾燥が良いのですか?
- A6.タオルドライ後、手早く頭皮と髪をドライヤーで乾かしたほうが良いです。
- Q6.髪が濡れたままブローすると痛みますか?
- A6.髪から水分が滴るほど濡れたままブラシでブローすると痛みやすいです。髪の根元中心に7〜8割乾かしてからブローするとくせを伸ばしやすくカールやボリュームもつけやすいです。
- 上下2つにブロッキングで手の届きにくい後頭部がしっかり乾かせる
- Q7.髪を何度もブリーチしていて濡らすとベタベタします。どうすれば早く乾かせますか?
- A7.ドライヤー前に厚手で吸水性の良いタオルで挟むようにしっかり水分除去、ブロッキングをしておくのがカギです。
- Q8.お風呂でトリートメントをつけたあとコームでとかしたほうが良いですか?
- A8.粗目のコームで2〜3回、歯を寝かせないで軽く通すくらいで充分です。とかし過ぎはダメージしやすいです。
- Q.9サウナに入るとき濡れた髪は痛みますか?
- A.水分が蒸発して乾燥しやすいのでサウナハットやタオルを巻いて乾燥と熱を防御するのがおすすめです。
- Q10.サウナでトリートメントはつけたほうがいい?
- A10.洗い流さないトリートメント程度にとどめたほうがマナー的に安心です。
- Q11.お風呂でトリートメントをつけてタオルを巻いてしっかり時間をおいたほうが良いですか?
- A11.製品によりますが、キューティクルが開いたままの濡れ髪を長時間放置するのはよくないことも。商品に記載の時間をおくことでベストな仕上がりになるよう製造されています。
- 濡れた髪のダメージリスクを避けるポイントをまとめます
濡れた髪は乾いた髪より痛みやすい|11のQ&A
- 濡れた髪はキューティクルが開いてしまうので、髪内部の成分が外に出てしまいやすい。
- 濡れた髪のキューティクルはもろくなっているので摩擦に弱く剥がれやすい。
- 濡れた髪は熱によるタンパク変性を起こしやすい。
この3つのダメージ要因をテーマに、美容室でよくある疑問にQ&Aでわかりやすくお答えしていきます。
Q1.濡れた髪にヘアアイロンはどうしてNGなのか?
A1.濡れた髪は乾いた髪より、熱によるタンパク変性を起こしやすいためです。
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以下にヘアアイロンの設定温度と実際の髪の表面温度は異なることが分かる例をご紹介します。
ヘアアイロンの設定温度 | 実際の髪表面温度 | 温度差 |
100℃ | 75℃ | 25℃ |
140℃ | 98℃ | 42℃ |
180℃ | 120℃ | 60℃ |
参考書籍:ヘアケアマイスターブック
180℃設定のヘアアイロンを髪に当てたときの髪の温度は60℃くらいまで下がっているのがわかると思います。健康な髪は髪内部の水分量が最大11〜13%程度あります。
水分量が多いダメージが少ない髪ほど温度差があります。
反対にダメージしたドライヘアは髪内部の水分量が少ないのでダイレクトに熱の影響を受けやすい傾向があります。
これは、乾いた髪の内部構造にある水分がアイロンの熱を奪うはたらきをしているからです。
とはいえ、濡れた髪は熱によってタンパク質が固くなってしまうタンパク変性を起こしやすいですのでヘアアイロン前は髪を完全に乾かす必要があります。
髪の8割以上ははタンパク質で成り立っています。
熱によるタンパク変性の身近な例
画像出典 Canva
- お肉を焼くと固くなる
- 生卵に熱を加えると固まるなど
- 濡れた髪では髪の表面温度が60度くらいからタンパク変性が起こる
- 乾いた髪では髪の表面温度が120度くらいからタンパク変性が起こる
タンパク変性が進むと髪が固くゴワゴワした質感になっていきます。髪の光沢がなくなりくすんで見えることもあります。
Q2.濡れた髪はすぐ乾かしたほうがいいのはなぜ?
A2.濡れた髪のキューティクルは柔らかくなり開いているので摩擦に弱く髪の中の物質が出ていきやすいためです。
健康な髪の毛が乾いているときは自然にキューティクルが閉じています。(ダメージ部分は立ち上がっていることもあります。)
髪は水分を含むとキューティクルが開きます。キューティクルというドアが開くことで髪の中の大事な成分が外に出ていきやすくなります。
Q.3 濡れた髪をブラッシングするのはどうしてだめなの?
A3.濡れた髪のキューティクルは開いていてもろく、ブラッシングの摩擦で剥がれやすいためです。
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ブラッシングするときは髪が完全に乾いた状態で行うように気をつけたいものです。とかす必要があるときは粗目のコームで軽くとかすようにします。
Q4.ロングヘアが乾きにくいので濡れた髪をタオルターバンして放置するのはOK?
A4.長くても10~20分程度でタオルをはずしてドライヤーで頭皮と髪を手早く乾かすのがおすすめです。
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長時間髪が濡れているのはキューティクルが開いたままですので髪が痛みやすく、髪の中身も流出しやすい状態です。
また、頭皮が湿っていると不快臭が出たり痒くなったりしやすいので、髪から水分が滴り落ちない程度になったらターバンを外してすぐドライヤーで乾かすのをおすすめします。
長時間タオルターバンをしておくと髪に変な癖がついてしまうのも避けたいですね。
Q5.濡れた髪にアウトバストリートメントやオイルをつけてヘアアイロンしても良いですか?
A5.濡れた髪にアウトバストリートメントをつけたら、完全に乾かしてからヘアアイロンを使うのが正解です。
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ヘアアイロン前にアウトバストリートメントをつける人は多いと思います。ポイントは必ず髪が乾いた状態でヘアアイロンを使うことです。
アウトバストリートメントにはクリーム状、乳液状、美容液状、水状、オイルなどありますが、基本的にはタオルドライ後の湿った髪につけて完全に乾かしてからヘアアイロンを使います。
乾いた髪にアウトバストリートメントをつけて湿ったままヘアアイロンをするとダメージしやすいのでお気をつけください。
ヘアアイロン向きのアウトバストリートメントがベスト
ヘアアイロンの前には、ヘアアイロンの熱によってトリートメント性が良くなるタイプのアウトバストリートメントや、熱から保護する機能があるアウトバストリートメントが好相性です。
Q6.髪はドライヤーを使わず自然乾燥が良いのですか?
A6.タオルドライ後、手早く頭皮と髪をドライヤーで乾かしたほうが良いです。
自然乾燥は長時間頭皮が湿って高温多湿になりやすいため蒸れて雑菌が増えやすくなります。頭皮には常在菌など様々な菌が存在しています。
雑菌が増えると頭皮がかゆくなったり、生乾き臭の原因になりますので風量の大きいドライヤーで手早く頭皮と髪を乾かすのが衛生的です。
また、濡れたままの髪はキューティクルが開いてダメージしやすい状態ですので、ドライヤーで乾かすことでキューティクルが閉じダメージ予防にもなります。
Q6.髪が濡れたままブローすると痛みますか?
A6.髪から水分が滴るほど濡れたままブラシでブローすると痛みやすいです。髪の根元中心に7〜8割乾かしてからブローするとくせを伸ばしやすくカールやボリュームもつけやすいです。
濡れた髪を厚手のタオルで押さえるように拭いたあと、頭頂部から後頭部、サイド、襟足と上から下に乾かして7~8割乾いてきたところでブラシでのブローを行います。
完全に乾いてしまうと水素結合で髪に形をつけるはたらきが弱くなる(くせが伸ばしにくくなったり、カールがつけにくくなったりする)ので、毛先に少し束ができるくらいの湿り具合を残すのがベストです。水分が飛ぶときに髪に形がつきます。
水分は上から下に流れていくことをふまえての順番です。
上下2つにブロッキングで手の届きにくい後頭部がしっかり乾かせる
ロングヘアや多毛の人は上下をざっくり2つにブロッキングして内側の髪からブローすると作業しやすく根元がきちんとブローしやすいです。ざっくりかんたんに分ければOKです。
髪が広がらない乾かし方は以下の記事でわかります。
Q7.髪を何度もブリーチしていて濡らすとベタベタします。どうすれば早く乾かせますか?
A7.ドライヤー前に厚手で吸水性の良いタオルで挟むようにしっかり水分除去、ブロッキングをしておくのがカギです。
ブリーチなどでベタベタするくらいダメージが進んだ髪はキューティクルがほとんど存在しないことも。水につけると髪がトロッと溶けるような感じになることも見られます。
さらに、とても水分が失われやすいのでブリーチしたサロンでダメージレベルに合った機能性のあるアウトバストリートメントを教えてもらってドライヤー前に使うのがおすすめです。
高度なダメージ毛では表面の滑らかさを出すコーティングだけのアウトバストリートメントでは乾燥が押さえられず、質感をコントロールしにくいことがあります。
Q8.お風呂でトリートメントをつけたあとコームでとかしたほうが良いですか?
A8.粗目のコームで2〜3回、歯を寝かせないで軽く通すくらいで充分です。とかし過ぎはダメージしやすいです。
トリートメントをつけているとはいえ髪が濡れてキューティクルが開いていますので、一生懸命コーミングしすぎるのはかえってザラつきやきしみの原因になることがあります。
コームの歯を寝かせて引っ張りをかけてコーミングすると摩擦抵抗が大きくなりキューティクルが剥がれやすいのと、せっかく髪に乗せたトリートメント剤が削ぎ落とされてしまうのでお気をつけください。
以下の記事で美容師の私がおすすめのコームと髪を傷めないとかし方がわかります。
Q.9サウナに入るとき濡れた髪は痛みますか?
A.水分が蒸発して乾燥しやすいのでサウナハットやタオルを巻いて乾燥と熱を防御するのがおすすめです。
サウナー歴2年の美容師の立場でお答えします。
濡れた髪は高温でも表面温度が上がりにくいですが、マナー的にはサウナ前にシャンプーするのがベストですので濡れた髪でサウナ室に入ることが多いと思います。
乾いた髪はキューティクルが閉じているというメリットはありますが髪の表面温度が上がりやすいため、個人的には濡れた髪をタオルドライ後、サウナハットかタオルを頭に巻いて熱を防御するのが良いと思います。
同じ90℃のサウナでもヒーターのタイプや部屋の構造、ロウリュのありなしで湿度がかなり違うので暑さの感じ方が大きく変わりますよね。
Q10.サウナでトリートメントはつけたほうがいい?
A10.洗い流さないトリートメント程度にとどめたほうがマナー的に安心です。
美容師サウナー目線では、トリートメントを髪に付けたままサウナ室に入ると以下のようなデメリットが気になります。
- サウナ室で流すタイプのトリートメントをつけたまま汗をかくと液剤が首筋や顔に流れやすいのと、サウナ室を汚したり、床が滑りやすくなる恐れがある。
- 髪が濡れてキューティクルが開いたまま時間をおきすぎるとヘアカラーの色落ちやきしみなどが起こりやすいことも。
個人的には洗い場で商品記載の放置時間内でトリートメントをするのがおすすめです。
もっと手軽に髪の乾燥を防ぎたいときは、タオルドライした髪にアウトバストリートメントを薄くつけておくのが液だれの心配もなくおすすめです。
サウナ後は汗をかいていますので、雑菌による匂い防止のために、髪と頭皮をすすいでから上がるのがおすすめです。
Q11.お風呂でトリートメントをつけてタオルを巻いてしっかり時間をおいたほうが良いですか?
A11.製品によりますが、キューティクルが開いたままの濡れ髪を長時間放置するのはよくないことも。商品に記載の時間をおくことでベストな仕上がりになるよう製造されています。
画像出典 Canva
長年の美容師経験からの答えになりますが、しっかり浸透させたい思いから20分〜30分放置時間を長くすることでキューティクルが開いた状態も長くなってしまいます。
また、コンディショナー、トリートメントには高級アルコール系などの油性成分や界面活性剤、水も含まれますので長く時間を置きすぎると開いたキューティクルからヘアカラーの色素などが流失しやすくなるケースもあります。
規定の時間以上時間を置かないほうが内部物質の流出を最小限に抑え、すすぎ後のキューティクルの手触りも低下しにくい傾向がるように感じます。
濡れた髪のダメージリスクを避けるポイントをまとめます
- ヘアアイロンは完全に髪を乾かしてから使う。
- 濡れた髪はすぐ乾かしたほうが頭皮トラブルやダメージを予防。
- 濡髪をブラッシングするのはNG。粗目のコームで軽くとかす程度に。
- 濡れた髪をタオルターバンするときは頭皮トラブルやダメージ防止のため20分程度以内にとどめておく。
- アウトバストリートメントをつけたあとは乾かしてからアイロンを使う。
- 自然乾燥は頭皮トラブルとダメージリスクがあるためドライヤーで手早く乾かすほうがベター。(特にカラーヘア)
- 髪が濡れたまますぐブローするのはダメージしやすいので7割くらい乾かしてからブラシでブローする。
- ハイダメージのブリーチ毛はタオルドライを丁寧にしてドライヤー時間を時短。
- トリートメント中のコーミングは何度もとかしすぎない。絡まりを解く程度でOK。
- 濡れ髪でサウナに入るときはタオルを巻くかサウナハットをかぶり乾燥ダメージを予防。
- サウナでトリートメント放置は液垂れなどのデメリットも。アウトバストリートメントがおすすめ。
- トリートメントをつけた濡れ髪の長時間放置は色落ちやきしみなどのデメリットも。
上記のことを気をつけることで、毎日の積み重ねダメージを減らすことができます。
まず、どうして濡れた髪は痛みやすいかをお伝えします。