シャンプーの洗浄剤によってヘアカラーの色落ちに違いがあることはご存知かと思います。
今回は1500円〜2000円クラスのドラッグストアで買えるシャンプーの中から洗浄力が高めなもの、穏やかなもの2種類を選んで色落ちのテストをしてみました。
もくじ
- 市販のシャンプーよく使われる洗浄ベース|ヘアカラーの色落ちテスト
- この検証の目的
- 検証の内容
- 使用した毛束サンプル
- テスト用に使うヘアカラーの種類
- 検証に使った市販シャンプーのメイン洗浄成分(界面活性剤)
- ベタイン系界面活性剤の特徴
- ラウレス硫酸アンモニウムの特徴
- 7日間シャンプー、ドライ、アイロンを繰り返したカラーの色落ちの変化
- シャンプー前
- シャンプー検証1日目
- 市販のシャンプーの匂いにクラクラ
- シャンプー検証2日目
- シャンプー検証3日目
- シャンプー検証4日目
- シャンプー検証5日目
- シャンプー検証6日目
- シャンプー検証7日目
- 結果|ベタイン系主体とラウレス硫酸アンモニウム主体、どちらのシャンプーが色持ちが良かったか?
- 結果:ベタイン系界面活性剤主体のシャンプーが色落ちのスピードが緩やかだった。
- ラウレス硫酸アンモニウム主体のシャンプーは洗浄力が強め
- アッシュ、グレー系の色落ちが目立つ
- その他の洗浄力が強めな界面活性剤
- ベタイン系洗浄剤メインのシャンプーは色落ちも穏やかな傾向
- 低刺激性のアミノ酸系界面活性剤
- シャンプーの洗浄成分は時代にあわせて改良されている
- ヘアカラーをしている人が増えてシャンプーの付加価値が求められる時代になった(美容師の個人的意見)
- 今回の色落ちテストの結論
市販のシャンプーよく使われる洗浄ベース|ヘアカラーの色落ちテスト
画像出典:Canva
この検証の目的
今回の色落ち検証は、市販シャンプーの洗浄剤の違いによってどのくらい色落ちのスピードが違うのか確かめることを目的としています。
今回挙げた界面活性剤はあくまでほんの一例です。この2種類が全てではありません。
検証の内容
- 1日1回2分間もみ洗い、タオルドライ、ドライヤーで乾かす、ストレートアイロン2スルーで仕上げ
- 7日間繰り返し
使用した毛束サンプル
カラーする前:白色の人毛サンプル
テスト用に使うヘアカラーの種類
8レベルの白髪染め用カラー(黄みベースと赤みベース)
ピンク系8レベル
アッシュ系(青み)8レベル
グレージュ系(灰色)8レベル
ベージュ系8レベル
検証に使った市販シャンプーのメイン洗浄成分(界面活性剤)
※メーカーや商品名は伏せます。
配合されているおもな界面活性剤:コカミドプロピルベタイン、ラウロイルサルコシンTEA、ラウラミドDEA,ココイルグリシンNa(ベタイン系とアミノ酸系)
価格と容量:520ml/2035円(10ml当たり約39円)
ベタイン系界面活性剤の特徴
両性界面活性剤のカテゴリー。泡立ちがよく低刺激性、アニオン界面活性剤との組み合わせで泡の粘りや泡立ちをより良くする。
さまざまなシャンプーに触れてきた美容師の個人的な感触ではベタイン系はしっとりした仕上がりが特徴的と感じます。
ラウレス硫酸アンモニウム、(エタノール)、ラウラミドプロピルベタイン(高級アルコール系とベタイン系、エタノールは界面活性剤ではない)
価格と容量:480ml /1540円(10mlあたり約32円)
ラウレス硫酸アンモニウムの特徴
ラウレス硫酸アンモニウムは洗浄力が強いラウレス硫酸ナトリウムに変わって配合されることが多くなってきたアニオン界面活性剤です。
ラウレス硫酸アンモニウムは、硫酸ナトリウム系よりやや刺激性が押さえられているとはいえ、高級アルコール系(石油系と言われる)のカテゴリーですのでやはり洗浄力は高め。ゆえにカラーリングの色落ちも早い傾向があります。
7日間シャンプー、ドライ、アイロンを繰り返したカラーの色落ちの変化
では写真で7日間の経過を見て行きます。※商品名は伏せさせていただきます。
※天候によって差がありますが、自然光で、なるべく明るさが一定になるように撮影しています。
シャンプー前
白毛にカラーリングして乾かし、アイロンで整形したサンプル。まだシャンプーは使っていません。
シャンプー検証1日目
写真の見かた:二股の左がベタイン系洗浄剤メインのシャンプー、右がラウレス硫酸アンモニウムメインのシャンプー
見た目の変化:美容師でわずかにわかるレベル。
手触り:さほど変わらない。
市販のシャンプーの匂いにクラクラ
検証に関係ないけど香料が強すぎる気が・・・手に匂いがついてなかなか取れない。サンプルも匂いが染み込んでます。
シャンプー検証2日目
見た目の変化:少し色落ちした。2つの差は余り感じない。
手触り:昨日よりドライ後広がる。(アイロンは2スルーまでにしています)
シャンプー検証3日目
見た目の変化:キラキラ感が増してきたが2つの差はあまり感じない。
手触り:ラウレス硫酸アンモニウムメインのほうがすすぎのときややきしむ感じになってきた。
シャンプー検証4日目
見た目の変化:ラウレス硫酸アンモニウムメインの方でややベースの黄みが浮き出てきた感あり。青色系、灰色系で差が目立つ。
手触り:ラウレスメインにきしみあり、ベタインメインはなめらかなまま。
それにしても、匂いが気になる・・・
シャンプー検証5日目
見た目の変化:アッシュ(青み)系の色落ちが目立つ。拡大すると、ラウレス硫酸アンモニウム主メインのほうが白っぽく褪色している。
手触り:ベタイン系メインはすすぎ時きしみを感じない、ラウレス硫酸アンモニウムメインはすすぎのきしみが強くなってきた。(個人の感想です)
シャンプー検証6日目
見た目の変化:ラウレス硫酸アンモニウムメインが明らかに色あせている。まとまりにくくなってきた。
手触り:ラウレス硫酸アンモニウムメインできしみ、毛先の広がり。
シャンプー検証7日目
見た目の変化:どちらも褪色が進みましたが、ラウレス硫酸アンモニウムメインのシャンプーのほうが後半褪色のスピードが早かった。ベタイン系メインのシャンプーは褪色のスピードが緩やかに感じた。(個人の感想)
手触り:7日後もベタイン系メインのシャンプーはすすぎ時のきしみは感じなかった。ラウレス硫酸アンモニウムメインのシャンプーは徐々にきしみが強くなって感じた。(個人の感想)
結果|ベタイン系主体とラウレス硫酸アンモニウム主体、どちらのシャンプーが色持ちが良かったか?
結果:ベタイン系界面活性剤主体のシャンプーが色落ちのスピードが緩やかだった。
今回の2つのシャンプーではベタイン系界面活性剤がメイン配合のほうが色落ちがゆっくりでした。
ラウレス硫酸アンモニウム主体のシャンプーは洗浄力が強め
ラウレス硫酸アンモニウムは洗浄力が高めなカテゴリーですので、アミノ酸系や、ベタイン系の洗浄剤に比べると3日後にすすぎの時きしみを感じ始めました。
アッシュ、グレー系の色落ちが目立つ
色素の濃いブラウンではさほど気になる色落ちではなかったですが、アッシュ、グレーなど寒色系の色落ちが4日以降で気になりました。
その他の洗浄力が強めな界面活性剤
石鹸系は色落ちスピードが早い
石鹸は生分解性は良い(環境には優しい)のですが、皮膚にはアルカリなので刺激が強い傾向です。
色落ちやヘアケア性重視だと、ヘアカラーをしている髪には不向きと感じます。(個人の感想)
高級アルコール系は昔からよく使われている洗浄力が高く、泡立ちの強い界面活性剤です。
低価格帯のシャンプーでメイン配合されているのを見かけますが、ヘアカラーの色落ちを気にする人にはこれらがメイン配合されているシャンプーは色落ちが早い傾向があります。
※高級とは、高品質の意味ではありません。
高級アルコール系 | ラウリル硫酸Na,ラウレス硫酸Naなど |
α−オレフィン系 | オレフィン(C14−16)スルホン酸Naなど |
石鹸系 |
オレイン酸Na,ヤシ油脂肪酸Kなど |
参考:ヘアケアマイスター®ブック
ベタイン系洗浄剤メインのシャンプーは色落ちも穏やかな傾向
ベタイン系ベースのシャンプーは、色落ちの程度は、前半はさほど差が見られませんでしたが後半の褪色スピードは緩やかでした。すすぎのときの手触りはきしむ感じはしませんでした。
低刺激性のアミノ酸系界面活性剤
アミノ酸系界面活性剤はケア性もよく、色落ちもしにくいものが多いです。洗浄力は穏やかですが、他の界面活性剤を組み合わせることで泡立ちなどのバランスが良くなっていることが多いです。
シャンプーの洗浄成分は時代にあわせて改良されている
ラウレス硫酸アンモニウムは、昔からよく使われていた硫酸ナトリウム系の洗浄剤に変わって近年様々なシャンプーに用いられている洗浄剤です。
硫酸ナトリウム系に比べるとやや低刺激といいますが高級アルコール系ですのでやはり洗浄力が強いカテゴリーに入ります。
ヘアカラーをしている人が増えてシャンプーの付加価値が求められる時代になった(美容師の個人的意見)
最近はブリーチカラーなどファッション性の高いヘアカラーをする人が増えたので、色落ちやダメージを昔より感じやすくなっている背景があると感じます。
シャンプーにも髪をきれいにする役割以外にこんな付加価値が求められていると感じます。
- ダメージケア性や香り
- 指通り
- 泡立ち
- 仕上がりの質感
- 色落ちしにくさ
- 低刺激性
必然的にアミノ酸系、ベタイン系の低刺激性なシャンプーが選ばれ、市販でもそのようなシャンプーが流通するようになってきたと感じています。(サロン経験からの個人的感想)
今回の色落ちテストの結論
今回は現在ドラッグストアなどで流通している中価格帯のシャンプーをテストしてみました。
洗浄力が穏やかなシャンプーで色落ちのスピードがかなり違う
これはサロンのお客様のホームケア事情からも実証済みです。
シャンプーによって本当に色持ちの期間が違ういうことを実感していただけたでしょうか?
色落ちしにくいシャンプーを選ぶときの参考になれば幸いです。
シャンプーの界面活性剤は細分化するとたくさんの種類があります。一つのシャンプーにはいくつかの界面活性剤が配合されています。
それぞれの個性や長所、短所を補いあうように設計されています。
今回は「色落ち」「市販シャンプー」という括りでテストしています。