最終更新2024.10.3
結論から言うとヘアカラーをしている人がアルカリ性寄りの石鹸シャンプーを使うと色落ちしやすいです。
「カラーヘアやダメージヘア」には、弱酸性の洗浄成分の液体シャンプーのほうが扱いやすく、仕上がりもコントロールしやすいです。
美容師の私がいくつかの石鹸シャンプーを使って気付いたことや、使い方のコツをお伝えします。
この記事での「石鹸シャンプー」はアルカリ石鹸でのケースでの内容です。
この記事は石鹸シャンプーを否定するものではありません。
美容師個人の感想や主観が含まれます。
もくじ
- 【美容師の結論】ヘアカラー毛に石鹸シャンプーはおすすめしない理由
- カラーヘアに石鹸シャンプーをおすすめしない理由
- 石鹸シャンプーで髪が「きしむ」原因
- 石鹸シャンプーが向く人
- 石鹸シャンプーが向かない人
- 液体のシャンプー剤を使うメリット
- 天然成分だからすべて低刺激というわけではない事実
- 石鹸シャンプーと一般的なシャンプーの違い
- 石鹸シャンプーの使い方
- ギシギシしてきたらすすぎは完了?ではありません
- ロングヘアの人などきしんですすぎにくいときは?
- 石鹸シャンプーには専用のリンスがおすすめ
- 酢やクエン酸で酸リンスを作ってもいい?
- 酸リンスって何?
- 酸リンス(石鹸シャンプー専用リンス)を使うときの注意点
- お風呂の椅子などに石鹸カスがついた時の対処法
- 石鹸カスとは?
- 私が使ったことのある石鹸シャンプー2つ
- ヘアカラーしている人が石鹸シャンプーを使うときのポイントまとめ
【美容師の結論】ヘアカラー毛に石鹸シャンプーはおすすめしない理由
pHがアルカリ性よりの石鹸シャンプーは色落ちがしやすい傾向です。キューティクルが開くからです。
髪のpHが「等電点」という弱酸性の状態に近いことが色落ちを防ぐために重要です。
美容室でカラーやパーマをするときは、ダメージ対策として
この「pH」を調整して弱酸性ゾーンになるよう処置を行う事が多いです。
カラーヘアに石鹸シャンプーをおすすめしない理由
石鹸シャンプーはアミノ酸系洗浄剤など弱酸性のシャンプーに比べヘアカラーの色落ちが早いです。
特に明るい色やブリーチカラーは落ちやすいです。
石鹸シャンプーはpHがアルカリに傾いているのでキューティクルを開きやすいことが原因です。
(例外として弱酸性の石鹸シャンプーもあるようです)
- 石鹸シャンプーは洗浄力が強くアルカリ性寄りでヘアカラーの色落ちが早い
- 髪がアルカリできしむのですすぎが不十分になりやすい
- 髪の質感が固くなりやすい
※例外の商品もあります
石鹸シャンプーで髪が「きしむ」原因
【どうして石鹸シャンプーはきしむの?】
カラーリングのダメージでキューティクルが開いている髪に、石鹸のアルカリ性でさらにキューティクルが開きます。
毛先に行くほど、髪をすすぐ時のギシギシ感やゴワゴワ感が強くなります。
ヘアカラーをしていない髪でも多少はきしむことがあります。
石鹸シャンプーというのは液状、固形状とありますが、代表的な洗浄成分にカリ石けん素地があります。
他には酸性石鹸があります。
大半の石鹸はアルカリ性寄りなので弱酸性のシャンプーと比べるときしみやすいです。
- 洗浄力が高め
- pHがアルカリ性寄り
- 皮膚刺激がやや高め
- 連続使用で石鹸カスが出やすい
- 生分解性が良い(環境に負担が少ない)
石鹸シャンプーが向く人
- ヘアカラーをしていない人
- 頭皮が皮脂でベタつきやすい人
- スタイリング剤を多用する人
- ヘアダメージが少ない人
- とにかくスッキリ洗いたい人
石鹸シャンプーが向かない人
- 頭皮や髪が乾燥している人
- 敏感肌の人
- ヘアカラー全般をしている人
- くせ毛や縮毛で髪が広がる人
- ヘアダメージが気になる人
液体のシャンプー剤を使うメリット
- 色落ちしにくい製品がある
- ダメージケア性
- 低刺激性の製品がある
- 肌、髪に合わせた幅広いバリエーション
- きしみにくい
- 石鹸カスが少ない
- 使いやすい
天然成分だからすべて低刺激というわけではない事実
化粧品やシャンプーに配合されている界面活性剤やエタノールは植物由来のものがあります。
植物由来なら必ずしも刺激がなくアレルギーなどが起きないわけではありません。
「〇〇がよくて●●はダメ」ではなく
「どんな仕上がりにしたいから」
「私の髪はこうだから」
というように自分目線、逆算目線で化粧品やシャンプーを選ぶのをおすすめします。
色んな商品があるので、判断が難しい方は詳しい美容師に相談するのもよいでしょう。
石鹸シャンプーと一般的なシャンプーの違い
石鹸シャンプー | 一般的なシャンプー | |
洗浄力 | 高め | 用途によって幅広い |
仕上がりの質感 | きしみやすい | きしみにくい |
色落ちスピード | 早い | 幅広い |
油分を落とす力 | 強め | 幅広い |
泡立ちの良さ | しっかりめ | 幅広い |
石鹸シャンプーの使い方
①洗髪前に髪をよくすすぐ
②石鹸シャンプーを頭につける(液体の場合は手のひらでのばして)
③シャンプーのように洗う
④よくすすぐ
⑤髪のきしみを減らしたい人は酸リンスを
⑥ダメージケアしたいときはトリートメントを使う
※髪質によりますが、通常のトリートメントを使うなら酸リンスは省略しても問題ない事が多いです。
商品に記載の時間以内で流すほうが良いです。
ギシギシしてきたらすすぎは完了?ではありません
石鹸シャンプーで髪を洗うとすすぐときにきしむのはご存知かと思います。
流してギシギシ感が出たら指が通りにくくなり、すすぎ終わった感じがしませんか?
実は、まだまだ石鹸成分が残っているんですよね!
ロングヘアの人などきしんですすぎにくいときは?
中間毛先にトリートメントやコンディショナーをつけて手ぐしでなじませながらすすいでみてください。
トリートメントで指通りが良くなるのですすぎ残しが減らせますよ!
石鹸成分が頭皮や髪に残るのは刺激や頭皮トラブルの原因になることがあります。
「地肌」をしっかりすすいでくださいね。
ご家庭でもサロン並みにすすげるコツを動画でご紹介しています。(YouTube動画、音が出ます)
石鹸シャンプーには専用のリンスがおすすめ
石鹸シャンプーのあとは専用のリンスを使って、
ダメージケアをしたいときはトリートメントやコンディショナーを使うのがベストです。
酢やクエン酸で酸リンスを作ってもいい?
食用酢で酸リンスを作る方法もありますが作り置きができないことや、
濃度調整が面倒なことを考えると石鹸シャンプー専用のリンスを使うのが簡単だと思います。
ツンとした酢の匂いもちょっと困りますよね。
酸リンスって何?
酸リンスはアルカリに傾いたpHを弱酸性に戻していく作用でキューティクルが適度に引き締まります。
酸リンス(石鹸シャンプー専用リンス)を使うときの注意点
- 長く置かない
- しっかりすすぐ
時間を長く置くとかえってきしみやすくなります。
私が以前自然派サロンのオーナさんに教えていただいて使ったことがある固形石鹸シャンプー「ムーンソープ」の専用リンスです。
粉末を水に溶かして使うので経済的で衛生的です。
液体の石鹸シャンプーも扱っているようです。
酸リンスを必要以上に長く置くとキューティクルが締まりすぎて過収斂(かしゅうれん)という状態になる心配がありますのでお気をつけください。
時間をおいて補修成分が入るような効果はありません。
あくまで石鹸シャンプーの酸リンスはアルカリできしんだキューティクルを通常の状態に戻す役割です。
髪を保湿したり、栄養を与えたいときは一般的なトリートメント剤を使うことをおすすめします。
お風呂の椅子などに石鹸カスがついた時の対処法
風呂いすなどに白い硬いものがついて落ちにくいことがありますよね。それは石鹸カスと言われるもので、汚れを放置せずこまめに洗剤でお掃除するのが良いようです。
参考:日本石鹸洗剤工業会ウェブサイト
石鹸カスとは?
水道水に含まれるカルシウムイオンと結合してできる石鹸スカムと呼ばれるものを作ります。
蓄積すると髪を固くさせることがあります。
私が使ったことのある石鹸シャンプー2つ
私は美容師なのですがアレルギー体質を持っています。
薬剤によって痒みが出ることがあります。
以前、頭皮の状態が不安定になった時、好奇心から湯シャンを半年間実践したことがありました。
湯シャン経験のある方はわかると思うのですが、数日湯シャンしていると、衝動的にシャンプーで髪や頭皮を洗いたくなるんですよね。
その時使った石鹸シャンプーを2つご紹介しておきます。(個人的嗜好)
エティークは世界的にエシカルにこだわった、ニュージーランド発のシャンプーバーです。求める仕上がりや髪質、頭皮によって種類が選べます。
私はこの時頭皮の状態が不安定だったので、デリケートヘア/スキャルプタイプを購入した。香りもナチュラルで植物油が含まれているのできしみは中程度でした。
環境に優しい素材でできたソープケースもかわいいです。
ヘアカラーしている人が石鹸シャンプーを使うときのポイントまとめ
- すすぐ時のきしみ対策に液体のトリートメント、コンディショナーをうまく使って
- ダメージ補修は通常のトリートメントで
- パサツキが気になるときはアウトバストリートメントや天然オイルで質感調整
- できるだけ短時間で石鹸シャンプーする
- 色落ち対策として石鹸シャンプーは週一回くらい、他の日は液体のアミノ酸系シャンプー
ここでお話しする内容は「自然志向」を否定する意味ではありません。
私もプライベートではナチュラルな化粧品やオイル、精油などが大好きでよく使います。