シャンプーした後頭皮がかゆい悩みによくある原因と解決方法

 

センシティブ女子

「シャンプーを変えて数日は痒くないのだけど、日に日に痒みが出てくるんですよね・・・」

 

というお悩みを美容室でお聞きすることがあります。今回は、アレルギー体質で敏感肌の美容師である私が20年間さまざまなシャンプーと出会ってきた経験をもとにかゆみ対策と、シャンプーの選び方やすすぎ方をお話したいと思います。

 

“この記事を”書いている人

この記事は現役20年以上のサロン実体験と、毛髪科学、美容薬学の知識を持った女性美容師が書いています。

美容薬学検定1級
JHCMAヘアケアマイスター取得
アロマテラピー検定1級
美容師免許

 

シャンプー後に頭皮がかゆくなる3つの要因


画像出典:Canva

シャンプー後に頭皮がかゆくなる3つの要因は?

  1. 皮膚のバリア機能が低下して刺激を感じやすくなっているケース
  2. シャンプーの内容成分の何かにアレルギー反応、かぶれを起こしているケース
  3. 脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患にかかっているケース


それでは、1つ目のケースからお話していきましょう。

シャンプー後に頭皮がかゆくなる人|1.皮膚のバリア機能が低下しているケース

 

美容室でよく見られるシャンプーを変えたときなどにかゆみなどの不快感を感じる人の例

 

乾燥肌の人

ホルモンバランスが揺らいでいるとき

疲れやストレスが溜まっているとき

はシャンプーを変えたときなどにかゆみなどの不快感を感じることが少なくないようです。

 

Sumi

実際、サロンでもお客様からそのような悩みをお聞きすることがあります。

 

 

 

皮膚のバリア機能とは?


画像出典:Canva

化粧品の広告などでもよく聞く「皮膚のバリア機能」とはどういうことか、ポイントだけお話しします。

 

皮膚のバリア機能とは?

 

皮膚の中に化学物質などの異物が侵入しないようにする機能

皮膚の保護・保湿の機能

 

バリア機能の整った皮膚とは?

 

バリア機能の整った皮膚は角質層の水分、細胞間脂質(セラミド)等のバランスが良く、外部の刺激によってトラブルを起こしにくい状態です。(図1)

図1.バリア機能が整った肌のイメージ

図2.バリア機能が低下した肌のイメージ

肌の乾燥などにより角質層の水分量が低下すると、肌の内部に水分や脂質などを保つはたらきが低下し、バリア機能も弱くなります。ホコリや化学物質、アレルゲンなどにも反応しやすくなりかゆみ、ヒリヒリ感などの違和感を感じたりすることがあります。

 

 

Sumi

基礎化粧品のCMなどで「バリア機能が低下した状態の肌」などといいますが、これはお顔や体の皮膚だけでなく頭皮にも言えることです。

 

シャンプー後に頭皮がかゆくなる人|2.シャンプーの成分の何かにアレルギー反応やかぶれを起こしている可能性があるケース

 

Sumi

シャンプーの中には水、界面活性剤、香料、防腐剤など様々な成分が配合されています。
この中の何らかの成分にアレルギー反応を起こすとかゆみなどを生じることがあります。

 

化粧品やシャンプーなどでかゆみが出たり、しみたりしやすい人は、製品の注意書きにもあるように、使用前に少量を肘の内側や耳の後ろなどにつけてパッチテストをしてみるのが安心です。

 

赤みが出てきたり、刺激を感じたり、痒くなったりするときは肌に合っていない可能性がありますので使用を中止します。

 

敏感肌の人は香料の強いシャンプーには気をつけて


画像出典:Canva

 

 

アレルギー体質の私も自らの頭で実験したことがあるのですが、香りの強い市販の売れ筋シャンプーのサンプルを使ったとき、直後から頭全体がかゆくなり2〜3日頭皮のかゆみが続いたことがあります。(個人差があります。健康な皮膚の人は何事もなく使えるのが一般的です。)

 

香料にアレルギーを起こしているか否かは特定しにくいですが、お客様の中でも化粧品やシャンプーなど香料の強い商品を使うと頭皮にかゆみなどの反応が出やすいという方のお話を伺うことがあります。

 

敏感体質の人は強い香りで気分が悪くなる人も

また、敏感体質や化学物質に過敏な人にとっては、強い香りに吐き気や頭痛を感じる人もいらっしゃいます。私も最近見かける香りの強い柔軟剤や強い香りの化粧品が苦手で吐き気がします。自分がサロンで取り扱っているシャンプー等も香りの少ない、低刺激性のものを使っています。

 

 

体にやさしい香料を使った商品も

香料が苦手な人は、なるべく合成香料を含んでいないものか、無香料のものを選ぶことをおすすめします。
サロン専売品の中には人工香料でも体に刺激の少ない安全性の高い香料だけを必要最小限配合している製品もあります。

 

 

こちらの商品はヘアクリームなのですが、低刺激性をコンセプトにしていて手の保湿にも使うことができ、リスク管理された香料の国際基準IFRAに基づいた安全性の高い香料を使用するなどやさしい工夫がされています。

 

NOTIOクリーム/リアル化学

 

精油などの天然香料と光毒性について


画像出典:Canva

 

一部の柑橘系精油は紫外線による光毒性に気をつけて

人工香料ではなく精油など植物性の天然香料は、安全と思われがちですが原料の植物に対してアレルギーを持っている場合は避ける必要があります

 

一部の精油には光毒性と言って該当の精油が皮膚についている状態で紫外線に当たると炎症や色素沈着を起こすことがあります。

 

ベルガモットなど一部の柑橘系の精油に現れることが多いです。

 

シャンプー後に頭皮がかゆくなる人|3.脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患にかかっているケース

 

脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患にかかっている場合は、皮膚科を受診して必要に応じて薬を処方してもらいます。専用のシャンプー剤なども紹介していただけることが多いようです。マラセチア菌という真菌(カビの一種)が関係する皮膚疾患です。(web上で写真等を検索していただくとどんな頭皮の状態か見ることができます。)

美容室でも時々見かける皮膚疾患です。

 

慢性的にかゆみやフケ(角質がはがれたもの)が多い、頭皮や毛穴の赤みがしつこく続いているなどの症状が気になる場合は一度皮膚科を受診してみるのが安心です。

 

スマホなどでご自分の頭皮を撮影してみると、赤みなどの状態が把握しやすいです。指で髪の毛を掻き分けて頭皮が見えるようにして撮影すると見やすいです。

 

 

頭皮の雑菌を繁殖させないためにシャンプー後、髪や頭皮がジメジメ濡れたまま放置するのは禁物です。
すぐササッとドライヤーで乾かして衛生的な頭皮環境を保つのをおすすめします。抜け毛の予防にも大切なことです。

 

Sumi

脂漏性皮膚炎で皮膚科の治療を受けた事がある方のお話では、お薬のほかに専用のシャンプーなどを勧めてくれることもあるようです。ヘアカラーをする人は、医師にヘアカラーを使っていいか判断してもらうと安心ですよ。

 

シャンプー後にかゆみが出やすい人のシャンプー選びコツ

画像出典 Canva 

かゆみが出やすい人が気をつけたいヘアケア習慣

  • 洗浄力が高いシャンプーを使わない
  • 香料が控えめ、または無香料のものを選ぶ。
  • 乾燥が強い人は2日に一回は湯シャンでシャンプー剤の使用を減らす
  • シャンプー後は濡れたまま放置せずすぐドライヤーで頭皮と髪を乾かす

 

洗浄力が穏やかなシャンプーに配合されている洗浄成分の例

 

洗浄力が穏やかな低刺激性洗浄剤(界面活性剤)の例

アミノ酸系界面活性剤(ココイルグルタミン酸Na、ラウロイルグルタミン酸Na、ラウロイルメチルアラニンNaなど)
タウリン系界面活性剤(ココイルメチルタウリンNaなど)
ベタイン系界面活性剤(ココアンホ酢酸Na、コカミドプロピルベタインなど)ほかにもたくさん

メインで配合とは、成分表示の初めの方,「水」の次にこれらの名前が書いてあるものです。大半のシャンプーは、数種類の洗浄剤を仕上がりや泡立ち、洗浄力のバランス、原料のコストなどを考えて配合しています。

 

洗浄力が適度な低刺激シャンプーの例

こちらはコカミドプロピルベタインが一番多く配合されています。その後にもアミノ酸系洗浄料がいくつか配合されていることから比較的低刺激性の特徴を持ったシャンプーと読めます。

※良い、悪いという分類ではなく、性格の違いのようなものです。

 

脱脂力、洗浄力が高めな洗浄成分(界面活性剤)の例

 

洗浄力が高めな洗浄剤(界面活性剤)の例

ラウレス硫酸Na、オレフィンスルホン酸Na、オレイン酸Na,ヤシ油脂肪酸K、ほかにもたくさん

 

洗浄力がやや高めなシャンプーの例

例として、このシャンプーはオレフィンスルホン酸Naが一番多く配合されています。その後に4つの洗浄成分が書かれています。洗浄力がやや高い洗浄成分と、アミノ酸系、ベタイン系など洗浄力が穏やかな低刺激性のものを組み合わせたタイプのシャンプーです。

 

自分の頭皮が乾燥肌なのか脂性肌なのかで向いているシャンプー(洗浄成分の性質)が変わってきます。界面活性剤自体が悪いという意味ではありませんので自分の肌質に合ったシャンプーを選ぶのが頭皮トラブルを遠ざけるポイントです。